JAS構造材利用拡大事業

By KOBAYASHI Kazuhiko on 2019年4月4日 in 未分類
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JAS構造材利用拡大事業について、今年も応募受付がスタートしました。

これは、木造建築で用いられる構造用部材について、
品質が明確化されたJAS構造材を利用した非住宅プロジェクトに対して
補助金を支給してJAS構造材の利用拡大・普及を目指す事業です。

木造建築の中でもツーバイフォー建築については、
従来からJAS構造材が一般的に普及しているため、
今回のJAS構造材利用拡大事業でも、
非住宅物件であれば多くが補助対象となります。

問題となるのは、いわゆる“在来工法”と呼ばれる軸組工法を採用した場合です。

都心部や、木造建築を積極的に取り組んでいる地域(福島、静岡等)では
JASでの格付けが行われた構造部材の利用が普及していますが、
群馬を含め、多くの地域で軸組工法でのJAS構造材の利用が一般化していない状況にあります。

JAS構造材でなければ、一体どんな材料を使用しているのか?と疑問に感じられるかもしれません。
その場合は、設計側では“無等級材”と読んでいる部材を使用することになります。
“無等級材”であっても、製材所では、建築基準法等の法律の規定に沿って、
乾燥させ、出荷していますが、その際の出荷検査は製材所の自主検査となるため、
時として、構造部材としての仕様がNGとなる部材が現場に搬入されることもあります。

私の現場で実際にあった話になりますが、
現場に搬入された柱材、筋かい部材、火打ち梁等で木材の節の部分が欠けている状態で搬入され、
工事が進められていたことが判明し、
(“生節”か“死節”で判断を迷うレベルではなく、節部分が抜け落ちている“抜け節”)
当該部材を適正なものに交換した、というケースがありました。
構造部材で節による欠損が生じた場合、
当該構造部材について設計時に見込んでいた所定の性能が期待できない、ということになります。

また、構造部材で用いられる木材については、法令で含水率(木材に含まれる水分の割合)が
20%以下と定められており、最近は製材所で大きな炉で乾燥させることが一般的ですが、
現場に搬入された木材を含水率計で計測すると、法定基準を大きく上回るケースがあります。

“無等級材”の場合、木材の硬さ等の評価も行われていないため、
どの程度の性能をもつ部材が使用されるかも、実際のところは不透明です。
同じ山の杉であっても、日当たりが良く成長の早い山の南側の杉と
日当たりが限られて成長のゆっくしりた山の北側の杉で硬さが違う、
というような話を聞いたことがあるでしょうか?
(この場合、北側の杉のほうが、より硬さを期待できます)
同様の性能の差異については伐採された地域が温暖か寒冷かでも当然ながら違いが生じ、
“無等級材”である限り、こいうった性能の違う部材が混在して現場に搬入されることになります。

設計基準等では、“無等級材”としておおよそ期待できる性能数値の規定はありますが、
果たしてその性能通りの部材が搬入されているかどうかは、誰も保証してはいません。

一方、JAS構造材であれば、製材所で資格者が日本農林規格の規定に沿って検査・評価を行うため、
部材として一定の性能があることが担保されることになります。
ただし、その場合、検査・評価の手間、製造の歩留まり悪化により、
“無等級材”と比較すればコストは上昇することになります。
(なお、昔ながらの“無節”、“上小節”、“特一等”等の表現はJAS構造材の等級表記ではありません)

今回のJAS構造材利用拡大事業における補助金はこのコストアップ分をカバーし、
JAS構造材を利用するハードルを下げる狙いがある、と考えています。

私共、設計者サイドから考えますと、
部材としての性能がはっきしりているJAS構造材を基本として設計を行いたい、
そのために、建築主様はもちろん、建設会社や工務店、木材流通に関わる
すべての関係者にJAS構造材が一般化することを期待したいと考えています。

 

※本件についてのお問い合わせは、モアブレーン 小林までご連絡願います。

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